可変式ドローン「DEERC DE25」分解整備記録

先日のこと。
空撮に出した折、折角だからと友人にもコントローラーを渡したところ、ややあって操作が遅れ障害物に接触して墜落

手に入れたドローンとしては2台目にあたり、そこそこの墜落も経験していたため「へーきへーき」と回収し再離陸……出来ない
回転しないプロペラや、回転しても異音を鳴らしスムーズとは見えないプロペラが入り混じっている。
かくして分解整備と相成ったのでした。

ヒント:落ちたのは砂場

収納状態
展開状態
機種は「DEERC DE25」
日本ではHolyStoneが販売しているGPS搭載の可変式ドローンです。
2万円弱というエントリー価格の中では多機能な部類であり、GPSによる自動帰還機能(RTH)を有しています。

現場の状況から大体の故障原因は分かっているので「分解を通して勉強してみよう」という試みです。
当然ながら自己責任です。真似しての分解で生じた損害に責任は持てませんのでご留意ください。
それでは開けていきましょう。

使用した工具は刃先1.5mmほどの精密マイナスドライバー1本。
スムーズな作業のためには2.0mmのプラスドライバーのご用意をお勧めします。

・アーム分離
早速、アームのネジを外していきます。
4隅のネジを緩めていきます
先端部分の各4隅のネジを外し、アームの中間部分の4隅にあるネジも取り外します。
モーターを露出させるだけならこれでもよかったようですが、今回は更に分解しアーム自体も取り外します。
バッテリーボックスの4隅のネジも同じく
こちらのネジも取り外し。
また、ひっくり返して各アーム変形時の軸になるネジも取り外します。
この際、全アームのネジを取り外すことをお勧めします。
今回は全アームの分解を目指すということと、分解時に無理な力が加わらないようにするためです。

続いてカメラユニットを外します。
基盤や配線を傷めないように
ボディ裏面中央寄りのネジ1本を外した後、前方向にスライドすることで外れます。
続いて写真右(ボディ前面側)の左右にある穴からネジを外します。
この2本も本体の上下を固定しているため、取り外しが必要です。

その後、マイナスドライバーをボディ上下の割れ目に差し込み煽っていきます。
プラスチックの留め具が各所にあるためある程度の思い切りは必要になります。
すると。
ボディとアームの分離完了
順調に行くとこのように分解できます。



・アーム内分解清掃
ここまででアームのネジは取り外しているので、上下に引っ張ると外装が外れます。
外れない場合はマイナスドライバーを差し込んで少し煽ってみましょう。
ギア式なのね
ギア周辺は潤滑のためグリスが塗布されています。手元にウエスのご用意を。
ギアはシャフトにネジ一本で固定されているため、これも外す。
なお、このネジは他のネジよりサイズが少し大きいため覚えておこう。

ギアを引き抜き、プロペラもシャフトごと引き抜いてしまう。
モーター部分は嵌っているだけなので少しずつ外していく。
配線に注意
これにて一通りの分解が完了。
そしてアームを観察する。
酷い有様
やはり砂粒が入り込んでいた。
プロペラが回転しない以上異物の侵入は予想していた。
続いてギア。
ギアを観察
 こちらもかなり汚れている。
山には汚れが谷にはごみが
柔らかい砂粒も入り込んだのか、ギアの谷に挟まり回転を阻害している部分を発見。
部品を用意しているなら交換すべきでしょうが、今回はそこまで予定していないので全ての山と谷にドライバーの刃を滑り込ませ掃除していきます。
外装も洗剤洗いを実施し砂を全て洗い流します。

マルチドローンの特徴として点対称なデザイン。すなわちアームそれぞれの構造が大きく変わらない点が挙げられます。
1本分解すると残り3本は大体同じ構造ですので、以降は同じ手順を繰り返すことになります。

この後、仮組しモーターを回したところ異音が発生したためモーターへの異物侵入を確信。
モーターの冷却孔にエアダスターを吹いたところ解消。
こういう部分のケアも考えなくてはいけませんね。

注意
この時点でギアに明らかな欠けなどがあった場合、飛行中に墜落しかねません。
人や財産に危害を加えかねない場所での飛行はお止めください。

・組み立て
逆順で戻していきます。
ミニ四駆用のグリスなどあればギアに程よく塗布すると潤滑に良いです。

注意点ですが、この機体のネジ受けは多くがボディと同じプラスチックです。
締まったことによる抵抗を感じないからといって締め過ぎると簡単にネジ受けを破壊し空回りします。
「振動では取れない」という程度で締めていきましょう。

また、アームの組み立て、ボディとアームの組み立ての際にモーターとLEDの電源コードを挟みこまないようにしましょう。経路を間違うと変形時に干渉し、上下に挟むと断線する可能性があります。
コードを抑えながら組み立てを行うため、精密ドライバーがもう1本欲しい工程でした。

・試験飛行
夕暮れ時にライトが映える
全て組み立て終わったら必ず試験飛行を行いましょう。
可能であれば全機能の確認をお勧めします。

それが面倒ということであれば最速モードでの100m四方への意図通りの飛行を確認し、その後モーターが以上に加熱していないかどうかを手で確かめます。
異常に加熱している場合、直接触れなくても熱さを感じます。そうなれば継続しての使用は中止し新品への交換を検討すべきです。
正常な飛行を確認
・整備終了
これにて分解整備が完了しました。
全体の難易度としてはミニ四駆クラスといったところで、モーター駆動のおもちゃの分解組み立て経験があればさほど難しくないと思います。
YouTubeのHolyStone公式チャンネルにはモーターの交換及びカメラユニットの交換についての解説ビデオが投稿されています。途中まで応用が利くので分解の際には合わせて参考にしてください。

今回分解したDE25はギアを介してプロペラを回転させるドローンです。上位機種やスポーツドローンの多くはモーター直結式であることが挙げられますが、分解の手順自体は大きく変わらないものと思います。
ジンバルを自分で整備するとまでなるとかなり難しいかと思いますが、今回のように墜落して機体に入ってしまったごみを取り除くくらいであれば挑戦したい方もいるかもしれません。
冒頭の通り責任は持てませんが、内部構造の参考などにしていただければ幸いに思います。

機体自体のレビューは後程。

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